インボイス制度導入により増加する税収額は?影響を受けると見込まれる事業者の数は?~中小企業にも影響があるインボイス

名古屋市で中堅中小企業の経営を支援する
油谷景子(あぶたにけいこ)税理士事務所です。

 

2023年(令和5年)10月1日に導入される消費税の大改正、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)

 

インボイス制度は、現在消費税の課税事業者である事業者のみならず、消費税の免税事業者にも大きな影響が出てくることが予想されます。

 

このインボイス制度により、現状は消費税の免税事業者、法人設立後間もない事業者等でインボイス制度がなければ免税事業者を選択すると思われる事業者のなかにも、BtoB取引をしていてインボイスの発行の必要がある等の事情により、課税事業者を選択しなくてはならないような状況もでてくるでしょう。

 

この記事では、インボイス制度により増える税収額、インボイス制度の影響を受ける事業者の想定数等についてお伝えしていきます。

 

【インボイス制度により増える税収】
さて、このインボイス制度により、税収はどのくらい増加するでしょうか?

過去の財務省の資料によると、消費税の軽減税率の財源として「約2,480億円程度」の税収増を見込んでいます。
(第198回国会 財務金融委員会 第3号(平成31年2月26日)答弁より)

 

実は、インボイス制度による税収増に関しては、消費税率の引き上げとも関係してきます。

ご存じのとおり、消費税率を10%に引き上げる際に食品などに関しては軽減税率8%が適用されることになりました。
そのため、当初の税収見込みよりも約一兆円税収が少なくなりました 。

 

この約一兆円の財源をどう確保するかについて、当時の答弁では、次の通り答えられています。
「歳入面において、個人所得課税、たばこ税の見直し、インボイス制度の導入により〇・六兆円程度、歳出面におきましては、総合合算制度の見送り、これまでの社会保障の見直しの効果の一部の活用により〇・五兆円程度、合わせて一・一兆円程度を確保することとしております。」

そして、この歳入面の0.6兆円のうちの約2,480億円がインボイスによる税収増加見込ということです。

 

 

【インボイス制度により課税事業者になると見込まれる事業者数は?】
どれくらいの数の事業者がインボイス制度の導入により課税事業者になると見込まれているのでしょうか。

これについては、前述の財務省の資料のインボイス制度による税収増加額「2,480億円」がどのように算出されているかを見ていきたいと思います。

当時の答弁では、平成27年の国勢調査によると免税事業者の数は488万。
ここから対象から外れると想定される一定数を除外すると372万。このうちBtoBの割合は4割程度、つまり「161万程度の事業者」がインボイス制度導入により課税事業者になるとの試算とのことです。
(第198回国会 財務金融委員会 第3号(平成31年2月26日)答弁より)

 

 

【インボイス制度により課税事業者となる事業者の平均負担増加額は?】
上記の数値をもとに一事業者あたりの負担額を計算すると…
一事業者あたりの平均負担増は約15万円
(2,480億円÷161万事業者=15.4万円)
(第198回国会 財務金融委員会 第3号(平成31年2月26日)答弁より)

 

免税事業者や新規設立法人、新規開業者や法人化した事業者にも大きな影響が想定されるインボイス制度。

 

2021年(令和3年)10月1日からは、適格請求書発行事業者の申請受付が開始しています。

インボイス制度が導入されると、適格請求書(インボイス)には登録番号を記載する必要があります。
また、請求書発行システムなどの改修対応も必要になってくることもあります。
取引先への影響もありますから、準備が未だの事業者の方は、早めにインボイス制度の概要を確認して準備を進めておきたいですね。

 

当事務所では、インボイス制度に関する支援も行っております。
準備に不安がある事業者の方はお気軽にご相談ください。

 

この記事は、記載日時点の法令・通達等に基づいて作成しています。
一般的な取り扱いを記載したものであり、個々の前提等を勘案した上で判断する必要があります。

 

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